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聖隷クリストファー―西日本短大付 一回裏西日本短大付1死、井上はチーム初安打となる三塁打を放つ=小玉重隆撮影

 (15日、第107回全国高校野球選手権2回戦 聖隷クリストファー1―2西日本短大付)

 一回はレフトへ、三回はセンターへ、五回はライトへ。西日本短大付の2番打者、井上蓮音選手(3年)が3安打の固め打ちで、チームに勢いをもたらした。

 チームは昨夏から3季連続の甲子園出場。自身も3度目だ。だが、2番打者として出場した今春の選抜初戦の大垣日大(岐阜)戦。一塁を踏んだとき、左足に激痛が走った。「よりによってこんなときに」。夢の舞台での途中交代。骨折だった。チームはその後、8強まで躍進した。悔しさは募ったが、「絶対ここに戻ってくる」と誓った。

 不完全燃焼の気持ちは、練習にぶつけた。下半身を使えない分、上半身を徹底的に鍛えた。「他の仲間たちよりも打球が飛ばない」と感じていたため、絶好の機会と捉えてダンベルを使った筋肉トレーニングに励んだ。

 練習に復帰したのは約3カ月後の6月。福岡大会がぶっつけ本番の公式戦となった。「最初は感覚が戻らなくて足がうまく動かなかった」。それでも徐々に調子をあげ、終わってみれば打率はチームトップの5割。チームの甲子園出場に大きく貢献した。

 だが、9日の弘前学院聖愛(青森)との1回戦では無安打。「ちゃんと振っているつもりなのに」。悩んでいると、西村慎太郎監督から「重心をもう少し前に」と助言を受けた。「打ちたい気持ちが強すぎたんだ」。体が後ろに反っていたことに気づいた。重心を意識して打撃フォームを修正したことがさっそく大舞台で生きた。

 接戦を制した試合後、「選抜の悔しさは、いったん晴らせた」と笑顔を見せた。「調子がまた上がってきている。このまま次も勝ちたい」

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