首相官邸に入る石破茂首相(中央)=2025年6月4日午前8時49分、岩下毅撮影

 政府が6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)の原案の全容が4日、わかった。野党などが求める「減税政策での手取り増」を否定し、「賃上げを起点とした成長型経済」の実現をめざす。物価上昇を上回る賃上げを定着させ、医療や介護の分野で働く人の給与増についても具体策を練る。

 骨太の方針は、翌年度の予算の編成方針や、財政運営の基本的な方向性などを示すもの。石破茂政権では初の策定となる。

 原案では、物価高やトランプ関税で経済の先行きに不透明感が高まるなか、「財源の裏付けがない減税政策による手取り増」ではなく、「賃上げこそが成長戦略の要」と位置づけた。物価上昇を1%上回る賃上げの定着をめざし、業種ごとにつくった生産性向上策や学び直しの推進などを通じて、中小企業の賃上げや、2020年代に「最低賃金の全国平均1500円」実現を後押しする。

 また、医療や介護、保育、福祉などに携わる人の待遇改善もめざす。それらのサービスにかかる値段は国が定めるが、最近の物価上昇に比べて伸びが抑えられてきた。そのため、病院などの経営が悪化し、賃上げの遅れが指摘されていた。日本病院会など6団体が1~2月に実施した調査では、昨年6~11月に6割の病院が赤字だった。

 ただ、サービスの値段を引き…

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