内閣不信任案提出見送りに関して、記者会見で質問に答える立憲民主党の野田佳彦代表=2025年6月19日午後6時5分、国会内、岩下毅撮影

 ワタシが首相になったら、石破茂さんより立派に政権運営できる。けれども国難だから、混乱しないよう今はやめておきます――。

 本稿の書き手がこんなことを言い出したら、「アナタ、何様のつもりだ?」とお叱りを受けるだろう。むろん私は議員バッジを持っていないから、そんなことを語る資格もないが、それに似た響きがあった。

 立憲民主党の野田佳彦代表は国会最終盤の19日、内閣不信任決議案の提出見送りを表明した。日米関税交渉を「国難」と表現し、中東情勢も挙げて「不信任案を提出をして政治空白をつくることを回避すべきだと判断をした」と語った。その後、米国によるイランの核施設攻撃、東京都議選での自民大敗と大きなニュースが重なったが、大切なことなのでしっかりと位置付けておきたい。

 野田氏は「責任ある態度」を強調したが、うなずくことはできない。野田氏は実際に不信任案を可決できる状況を「つくってこなかった」のが実情だ。可決できる担保がない不信任を引き合いに、かさにかかって「責任」を強調しても、まやかしや虚勢に近いのではないか。

 衆院で少数与党の状況下、内閣不信任案を可決すれば首相は衆院解散か内閣総辞職を選ばなければならなくなる。野党議員たちは「伝家の宝刀」と呼んだ。

 野田氏は昨年10月の衆院選…

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