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立命館大の白戸圭一教授=2025年8月12日、東京都内、加藤あず佐撮影

 日本がアフリカ諸国の首脳らを招き、アフリカの発展について議論する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が20日、横浜市で開幕した。アフリカ地域研究が専門で立命館大学教授の白戸圭一さんに、日本のアフリカ外交の変遷や今後について聞いた。

 初めてTICAD(アフリカ開発会議)が開催された1993年当時、世界最大のODA(政府の途上国援助)拠出国だった日本は、敗戦国としての「受け身の外交」からODAをはしごに独自性を発揮する「打って出る外交」へ転換を図った。その後、アフリカ経済が成長軌道に乗り、日本のODA予算も伸び悩んだため、2008年のTICAD4以降は民間投資を重視してきた。

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 だが、対アフリカ投資は減少し、「量」では中国などに遠く及ばない。そこで日本政府は今、アフリカ外交の「質の深化」を目指している。法の支配の推進や若者の人材育成を目指す「日本らしい関わり方」で、アフリカにおける存在感を高める狙いだろう。

 TICADは日本外交で重要な役割を果たしてきた。16年のTICAD6の基調演説で、安倍晋三首相(当時)が表明した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想は、ルールに基づく国際秩序を目指し、太平洋とアフリカ東岸まで及ぶインド洋を連結させた意義深い構想であった。

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