雪谷―岩倉 五回裏岩倉1死一、三塁、増田のスクイズで南が本塁を狙うもタッチアウト。捕手新井=2025年7月21日午前10時48分、大田、石平道典撮影

(21日、第107回全国高校野球選手権東東京大会5回戦、岩倉8―7雪谷)

 「赤い旋風」が球場を包み込んだ。雪谷が終盤、岩倉に1点差まで迫った。だが、二回に7点を失ったことが最後まで響いた。主将の大竹泰成(3年)は「誰一人、負けるとは思わなかった。あきらめずに戦った結果」と悔しさをかみしめた。

 先行したのは雪谷。初回、安打で出塁した小原陽(はる)(同)を矢野紳太郎(同)が適時打でかえすと、矢野も失策の間に生還し2点を先制した。

 だが二回の守備。先発したエースの亀田修一(同)の制球が定まらず、無死満塁から連続四球で失点。この回だけで7点を失った。

 大竹は「先制して流れをつかむことができたが、課題だった守備が乱れた」。それでも、選手たちは勝利を信じ続けた。

 3人目となる2年生右腕、松岡史穏(しおん)が「先輩たちの夏を終わらせるわけにはいかない」と粘投。五回にスクイズで1点失うが、その後は追加点を許さなかった。

 打線は外野を狙った強打でつなぎ、五回に1点、六回に3点をかえす。終わってみれば相手を大きく上回る14安打。「あの7点を縮められたら勝敗は違った」と大竹が悔やむ結果となった。

 2003年に甲子園に出場した雪谷。純白のユニホームには朱色の漢字で「雪谷」と入り、白と赤の配色から「赤い旋風」と話題になった。甲子園では1回戦でPL学園(大阪)に1―13で敗退。以来、チームは「甲子園で校歌を歌う」ことを目標にしてきた。

 21年に就任した伊達昌司監督(49)は、阪神、日本ハム、巨人と渡り歩いた元プロ野球選手。野球だけでなく、勉強や行事にも一生懸命取り組み、「応援されるチーム」を目指してきた。就任以来初めて5回戦に進出し、伊達監督は「選手たちは本当によく成長した」とたたえた。

 3連休最終日、球場には大勢の生徒や保護者らが詰めかけ、スタンドは赤色に染まった。敗れはしたが、選手たちは試合後、「楽しかった」「最高だった」と声をかけ合った。大きな応援を受け、大竹は「感謝しかない」。=大田

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