りんくう総合医療センター=2025年6月25日、大阪府泉佐野市、西江拓矢撮影

 大阪府泉佐野市は26日、市内の「りんくう総合医療センター」と連携し、望まぬ妊娠に悩む女性が医療機関の担当者のみに身元を明かす「内密出産」と、育てられない新生児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」の設置に取り組むことを明らかにした。来年度中の開始に向け、準備する。

 医療機関への赤ちゃんポストの設置は熊本市の慈恵病院、東京都墨田区の賛育会病院に次いで全国3例目となる。

 同センターは市が設立した地方独立行政法人が運営しており、市は今後、必要な設備費や運営のための人件費などを負担する方針。民間病院が主導した先行の2例と違い、行政主導での取り組みの開始となる。

 大阪総合保育大の山縣文治特任教授(子ども家庭福祉学)は、内密出産について「国が制度化すべき問題。市で先行的に取り組むとしても、国にも要望することが大事だ」と話す。一方、赤ちゃんポストについては「まず本当に命を守ることにつながっているかを検証し、孤立した状態で出産した当事者が直後に窓口まで移動してくる危険性などについてしっかり議論してから始めるべきだ」と言う。

 千葉経済大短期大学部の柏木恭典教授(教育学)は赤ちゃんポストについて「基本的に行政の支援から漏れている人への支援。当事者には行政に対する不信感があり、行政主導で取り組めば避けられる可能性もある」と指摘する。

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