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藤田医科大病院のエクモカー=愛知県豊明市

 「走る集中治療室(ICU)」とも呼ばれる「ECMO(エクモ)カー」が活躍の幅を広げている。症状が重く搬送が難しかった呼吸不全の患者を、高度な医療を提供する病院に運び、救命につなげている。コロナ禍の教訓もあり、導入する病院は増えている。

 エクモ(体外式膜型人工肺)は、血液に酸素を取り込ませ、二酸化炭素を排出させる装置だ。人工呼吸器などを使っても救命が難しい状態に悪化した患者の肺を休ませ、回復する時間を作り出す。2020年以降の新型コロナ感染症の流行時には、呼吸不全の患者を救う「切り札」として、広く知られるようになった。

 ただ、重い呼吸不全患者へのエクモ治療はどの病院でもできるわけではない。体の深い部分の太い血管に、指の太さほどもある管を入れ、さらに、血液が固まらないよう、血をサラサラにする薬を使い続ける。

搬送が「リスク」 難しい選択迫られることも

 そのため、体のいたるところで出血したり、体の深部で感染したりと重い合併症のリスクもある。肺の回復には月単位の治療が必要なこともある。適切に使うには技術や経験、医師だけでなく看護師や臨床工学技士など、多くの職種が連携したICUでの管理体制などが求められる。

 このため、エクモが使えない…

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