右腕に装具をはめて固定し、左腕にラケットを持ってプレーする。ラケットとラバー、フォームが一体となり、スピードに回転も加わった球が返せた時は「その振動も含めて気持ちよさは格別」という。パリ・パラリンピック卓球日本代表の舟山真弘(まひろ)選手(20)は根っからの卓球好きだ。
4歳で小児がんの一種、右上腕骨の骨肉腫に罹患(りかん)し、利き腕の右肩関節の機能を失った。手先は使えるが、腕を上げたまま維持するのが難しい。
それでも、体を動かすことは好きだった。小学校2年のときに家族旅行で行った温泉地にあった卓球台が、人生を変えた。サッカーやバスケットも好きだったが、右足の腓骨(ひこつ)を移植したため骨が細く、激しいスポーツは避けていた。「やっと巡り合えたやりたいスポーツが、卓球だった」
パラ卓球は障害の程度に加え、車いすと立位などで11クラスに分かれる。舟山選手は立位の「クラス10」。肢体不自由者枠で障害程度が最も軽く、健常者に近い。
小5から自宅近くの卓球教室…