Smiley face
写真・図版
廃品の段ボールなどを集め、リサイクル業者の施設に運ぶ高齢者。「体を動かすためだよ」という人もいるが、この仕事なしには生活できない人も少なくない=2024年8月19日、ソウル、稲田清英撮影

 世界的にも異例の速さで高齢化が進む韓国。2026年までに65歳以上が総人口に占める割合を示す高齢化率が21%を超える「超高齢社会」となり、40年代には、現状で世界一の高齢国である日本を上回る見通しだ。平均寿命の延びなどが背景にある一方、貧困や孤独に苦しむ高齢者が少なくない。また急速な変化に若い世代は不安を抱え、社会的な葛藤の一因ともなっている。そうした現状や背景を、韓国・仁荷(インハ)大招聘(しょうへい)教授の黄淳燦(ファンスンチャン)さん(54)に聞いた。

【連載】電車に荷物背負った高齢者、そのとき乗客は 「儒教の国」韓国の変化

韓国で高齢化が急速に進んでいます。そのペースは日本をも上回る速さです。「超少子化」も続く隣国はどこへ向かうのか。現場から報告します。

 「長生き社会」となった韓国だが、誰もが幸せな老後を送っている、とは言いがたい。貧困や孤独に苦しむお年寄りが少なくなく、自殺率の高さも目立つ。なぜそうなったのか。ソウル市自殺予防センター長も務めた黄淳燦さんを訪ねたのはそんな疑問からだった。

写真・図版
韓国の高齢者の直面する問題などについて語る韓国・仁荷大招聘教授の黄淳燦さん=2024年7月24日、ソウル、稲田清英撮影

 「本人も、国家も、家族も、老後への準備が出来なかった。現在の高齢者たちは、こうした世代なんです」。黄さんはそう話す。

 その発展のスピードから「圧縮成長」とも呼ばれる経済成長を遂げた韓国。サムスンやLGといった韓国ブランドが世界各地に浸透し、Kポップや映画などの韓国カルチャーも国境を越えて人気だ。

 だが、大企業主導の成長が優…

共有