吉野千鶴被告の自宅前の草花は手入れされていた=2023年10月31日午後3時33分、東京都大田区、比嘉展玖撮影

 25歳年下の架空の妹の戸籍を作り、なりすましたなどとして有印私文書偽造・同行使などの罪に問われた吉野千鶴被告(73)=東京都大田区=に対し、東京地裁は28日、「身分証明制度の根幹を揺るがす悪質な犯行」として、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。

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 薄井真由子裁判官は「大胆な一方で周到さもある」と指摘。「無戸籍者が就籍(しゅうせき)するために設けられた制度を悪用し、戸籍や住民基本台帳といった社会の根幹に関わるシステム上に架空人を作り出した」と指摘した。

 判決によると、吉野被告は2021年10月から同年11月までの間、架空の妹「岩田樹亜(じゅあ)」が無戸籍であり、戸籍を作る「就籍」の手続きをさせたいと弁護士に相談し、就籍に向けたうその申立書を作成させた。その後、21年11月から23年7月にかけて、住民票や国民健康保険、マイナンバーカードを取得し、家庭裁判所の許可をもとに架空の戸籍を得るなどした。

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