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朝鮮人犠牲者追悼式典に小池百合子東京都知事が追悼文を送らないことに対し、抗議声明を担当職員(右端)に手渡す主催者の宮川泰彦実行委員長(右から2人目)=2024年8月26日午前11時53分、東京都新宿区の東京都庁、北野隆一撮影

 関東大震災時に虐殺された朝鮮人らを追悼する式典に、小池百合子・東京都知事が今年も追悼文を送らない考えを示したことに対し、主催する日朝協会などの実行委員会は26日、都庁で記者会見した。「知事の要請拒否は看過できない」との抗議声明を発表し、担当する公園緑地部の職員に提出した。

 追悼式典は例年、9月1日に東京都墨田区の都立横網町公園にある朝鮮人犠牲者追悼碑前で開かれている。実行委は今年の式典への追悼文送付を8月1日に知事あてに要請。都からは14日にファクスで「送付しません」と返事があった。

 宮川泰彦・実行委員長は「虐殺された朝鮮人犠牲者への追悼は必要ないというのに等しい。歴史的事実から目をそむけ、なかったことにしたいのではないか。恥ずかしい歴史に目を向けず逃げ回る姿こそ恥ずかしい」と批判した。声明を受け取った職員は「知事や関係部局に速やかに伝えます」と応じた。

 一方、虐殺犠牲者の人数などを問題視し、追悼碑の撤去を求める団体「そよ風」が1日午前に同じ公園で予定する別の集会に対し、作家や弁護士、大学教授らが24日、声明を発表し、都に公園使用許可を出さないよう求めた。過去の集会での参加者による言動が2回、都にヘイトスピーチと認定されたことを指摘し、「彼らは追悼のためではなく死者を冒瀆(ぼうとく)するため公園を占用している。慰霊の日に慰霊の公園で許される集会ではない」と主張した。(編集委員・北野隆一)

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