開発した新素材でつくった透明なコップとストロー=海洋研究開発機構提供

 もし、ジュースなどの中身が見える透明な紙パックがあったら――。

 神奈川県横須賀市に本部を置く海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究チームが、容器にできるほどの厚さの透明な紙の開発に、世界で初めて成功したと発表した。植物由来で微生物に分解されるため、プラスチック容器の代替となることが期待される。

 開発した透明な紙は、しなやかに曲がり、ぬれても丈夫で、コップやストローなどにも成形できる。研究リーダーの磯部紀之・副主任研究員は「海洋汚染対策の切り札にしたい」と意気込む。

 きっかけは、もともと大学などで木や紙の主成分である「セルロース」を研究していた磯部さんが、2017年に機構に移り、深海に蓄積される使い捨てプラスチックの現状を目の当たりにしたことだ。

 プラごみが流れ込む場所を突き止め、生物に与える影響などを調査してきた機構には、潜水調査船などで記録したデータベースがあり、深さ1千メートルを超える海底に、レジ袋などが散乱する様子が映されていた。

 ひらめいたのが、海に流れ出ても微生物が分解してくれる素材にプラ容器を置き換えることだ。紙はその有力な候補となると思った。

紙容器の「弱点」とは

 しかし、大きな弱点があった…

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