政府は2022年12月改定の国家安全保障戦略(NSS)で「能動的サイバー防御(アクティブ・サイバー・ディフェンス、ACD)」導入を打ち出し、翌23年1月には警察庁や防衛省、外務省、総務省などの出向組を集めて内閣官房に「サイバー安全保障体制整備準備室」(室長・小柳誠二・内閣審議官)を設置した。ところが、法案の閣議決定までには約2年間も要した。なぜか。

 理由は二つある。

 一つ目は、武器輸出の大幅規制緩和をACDとは同時並行で進めることは出来なかったからだ。武器輸出を制限する防衛装備移転三原則を改定し、平和主義に基づく戦後日本の安全保障政策を大きく転換させる政策であり、政府内には「ACDと装備移転の二正面作戦をすれば政権はもたない」(関係者)との見方が強かった。

 二つ目は、さらに高いハード…

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