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四国アイランドリーグplusで8年ぶり3度目の年間総合優勝を果たし、弓岡敬二郎監督を胴上げする愛媛マンダリンパイレーツの選手たち=球団提供
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20年目の四国独立リーグ

 10月上旬、四国アイランドリーグplus(四国ILp)で8年ぶり3度目の年間総合優勝を果たした愛媛マンダリンパイレーツ(MP)の運営会社「愛媛県民球団」は、チャンピオンフラッグとトロフィーが飾られるなど祝賀ムードが漂っていた。

 複数の選手に対しては、日本野球機構(NPB)の球団から調査書が届いた。3年連続の指名選手輩出へ――。同月24日に迫ったドラフト会議への期待も膨らんでいた。

 一方、来季以降の契約に関する選手との面談も並行して行われていた。「NPB入りの可能性がない選手に『第二の人生をスタートした方がいい』と進言するのも大事な使命」と薬師神(やくしじん)権祐(けんすけ)社長は言った。

 主に10代後半~20代前半の若者が人生の岐路に立つ。四国ILpは夢をかなえる場所でもあり、あきらめる場所でもある。

 今年創設20年目を迎えたリーグ、球団の運営は綱渡りの連続だった。

 「『日本初のプロ野球独立リーグ、四国に誕生』。そんな新聞の見出しをみたとき、素晴らしいことだと思いました」

 権祐社長の父、績(いさお)会長が振り返る。リーグ発足前夜から、リーグ創設者の元プロ野球選手、石毛宏典(ひろみち)氏をサポート。4球団の独立採算方式となった2年目から、自身が経営する1978年創業の広告会社「星企画」が出資する愛媛MPの運営会社のトップも務めてきた。

 2005年4月、松山市の坊っちゃんスタジアムに7千人余の観客を集めて華々しく開幕した四国ILp。だが、績会長は間もなく石毛氏から「資金が底を突きそうだ」と相談された。

 発足当時、各球団はリーグ事務局が統率していたが、その組織運営はずさんだった。績会長らが増資策に奔走し何とか乗り切ったが、赤字額は3億円を超えた。

 2年目から4球団を分社化することになった。しかし、愛媛では引き受け手が見つからず、結局星企画が1千万円を出資し、運営会社「愛媛MP」をつくった。毎年3千万円ほどの赤字が続き、4年間で累積赤字は1億2千万円に膨らんだ。融資は受けられず、不足資金は星企画からの貸付金という形で穴埋めした。監督やコーチ、選手の給料を払おうにも、通帳を見ると残高がない。眠れない日々が続いた。「(75年の)人生の中で1番目か2番目に大変苦労した」。本業にも悪影響を及ぼしかねない。撤退も視野に入れ始めた。

 再生か、消滅か。09年、球…

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