ICTを導入した重機の操縦席=加藤組提供

 人手不足が深刻な建設業界で、独自の取り組みで人材を集める企業が広島県三次市にある。「進化するケンセツ」を掲げ、ICT(情報通信技術)を積極活用。従業員を「クリエーター」と位置づけ、重労働を減らす工夫で若者を呼び込む。同社には国内外からの視察が相次いでいる。

 作業着姿の社員らが、工事の進み具合に頭を抱えている。休みの予定だった週末の出勤も覚悟したが、最新鋭の重機の存在に気付くと――。

 建設会社の加藤組が制作したPR動画。話には続きがあり、ICTを導入した重機を現場に投入したところ、工期を半分に短縮でき、社員らは無事休みを取れた、というストーリーだ。加藤修司社長(60)は「地方で純粋に建設をやりたい人はほとんどいない。でも、ICTに関心を持つ人はいる。そこにかける」と言う。動画は、建設業界をめざす大学生の講義でも流された。

30代以下の社員3割、造園業などからの転職組も

 加藤組のスローガンは「スマート・コンストラクター」。建設業界にある「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージの反対を行く。

 ショベルカーには、1センチ単位で掘削を指示する設計データが取り込まれ、作業中にずれると自動停止する。土を掘る先端は360度回転し、高い機動性をもつ。ブルドーザーにも設計データを読み込ませ、半自動で整地できるようになった結果、作業時間は3分の1ほどに縮まった。

 数年前からは、国などと連携…

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