SNSで「いいね」が押されたがん情報を、医師がファクトチェックしたら、4割超は誤情報だった――。そんな研究がある。不確かな情報があふれるSNS空間で、患者は何を信じればいいのか。論文の著者で名古屋市立大学病院乳腺外科の呉山菜梨さんと、寺田満雄さんに聞いた。
――研究のきっかけは?
呉山 診療現場で、患者さんからSNSで入手した情報について尋ねられることがあります。正しいものもある一方で誤ったものもあり、治療に不安を抱いたり、惑わされたりしてしまっているのを見てきました。
海外ではSNS上の医療の誤情報に関する研究がありますが、日本ではなかったので、研究してみました。
――どのような研究ですか。
呉山 旧ツイッター(現X)に2022年8~9月に投稿された、がんにまつわる日本語の投稿を抽出しました。「いいね」の多い100件の投稿を選び、がんを専門とする4人の医師がレビュアーとなって検証しました。すると、44%が誤り、31%は有害な情報と判断されました。
誤りと判断したものには、証明されていないもの(40%)、反証されているもの(20%)などがありました。
売れ残りの抗がん剤? 広がりやすい誤情報
――どんな誤情報だったのでしょう。
呉山 例えば「日本人は欧米…