文部科学省は、主に低所得世帯の学生を支援する「修学支援新制度」から除外する大学などの要件を緩和した。制度からの除外措置は、基準以上に定員割れが続く学校へのペナルティーとして2024年度に同省が厳格化したが、影響の大きさが指摘されていた。
3月31日に公表した。制度の対象は大学、短大、専門学校など。3年連続で学生数が収容定員の8割未満となるだけで対象外とする要件を設けていた。制度の対象にすることで、経営が成り立たない学校を実質的に救ってしまう事態を避ける狙いだった。
- 止められなかった定員割れ 6割地元定着も…地方大学が置かれた窮地
しかし、対象外となる私大などが急増し、学生募集をやめる例も出た。同省は対象外の学校数が予想を上回ったとし、特に地方の教育機会確保のため、要件緩和を決めた。
緩和内容は、基準以上に定員割れが続いても、同じ道府県に同じ分野の代替進学先がなければ支援制度の対象外とはしない、というもの。分野は17の学位分野を基準に検討する。ただし、東京、埼玉、神奈川3都県の一部(東京都=23区、武蔵野市、三鷹市の一部▽埼玉県=川口市の一部▽神奈川県=横浜、川崎両市の一部)は除いた。該当可能性のある大学などに対し、文科省は早めの相談を呼びかけている。
また、いったん対象外となった学校も、対象外になって3年後に「直近3年連続で在学生が定員の6割以上」と「進学・就職率が9割超」を満たすと復帰できる条件も加えた。同省担当者は「エッセンシャルワーカーの育成など、地方の高等教育機関が担う役割は大きい。少子化など外的要因で経営が難しい面もある。今回の見直しで後押しできれば」と話す。