最高裁判事を6年余り務めた宇賀克也・東京大名誉教授(70)が7月、判事を退官した。個性が見えづらいと言われる裁判官にあって、裁判官個人の意見を判決や決定で示す「個別意見」で自身の考えを積極的に打ち出し、異彩を放った。在任中は何を考え、数々の司法判断に向き合ってきたのか。話を聞いた。
――裁判官として、個別意見、特に反対意見を多く表明しました。学者としては「保守的」との評価もあったようですが、何か心変わりでも?
「それは全くないですね。私は行政法学者で、最高裁が直面する憲法問題について発言する機会が、そもそもほとんどありませんでした。実際に法律をつくることも大切ですから、政府に協力する形で審議会にも出ていましたし、学界では確かに『中立的』と言われることもありました。ただ、自分自身の考え方は全く変わっていません」
――どんな姿勢で裁判官の仕事と向き合ってきましたか。
「裁判を起こす人は、一件一…