離れた場所に住んでいる、それがたとえ地球の裏側であったとしても、恋人の体温や鼓動、ハグする感覚を届けるシステムがある。石川県野々市市の金沢工業大学が2019年度に開発し、改良を重ねてきた「遠距離恋愛支援システム」は、早ければ25年度中にも台湾で商品化されるという。
開発のきっかけは5年前。宇都宮市に住む恋人と遠距離恋愛をしていた同大4年の女子学生の思いつきだった。恋人の声を聞きたくても、相手が忙しければ電話をすることさえはばかられる。
それでも恋人の体温や鼓動は常に感じていたい――。だったら、お互いをより近く感じられるシステムをつくろうと、卒業研究として開発に着手した。
斬新なアイデアに、学生を指導していた中沢実教授(56)=情報工学=は「もちろん、積極的に後押しした」と振り返る。
最初に完成したシステムは、心拍を測定し、離れた場所にあるスマートフォンや電気ヒーターなどを埋め込んだ人形を通じて再現するシンプルなものだった。
研究引き継ぎ改良重ね
女子学生が卒業した後も中沢…