日本国憲法で定められている「国民主権」。でも、私たちは「選挙の時だけ主権者」に陥っていないか――。そんなあり方を見直そうと、現在の憲法のままで国民が政策ごとに賛否を投票したり、国会に議論を促したりできる「イニシアチブ(国民発議)制度」の導入を目指す市民グループがある。3日は憲法記念日。

INIT国民発議プロジェクト共同代表の元山仁士郎さん=2025年4月16日午後6時37分、横浜市、上地一姫撮影

 一橋大学大学院生の元山仁士郎さん(33)は、2023年から「INIT国民発議プロジェクト」の共同代表を務める。法律の制定や改廃などを国に発議でき、政策決定に生かす仕組みづくりをめざすグループだ。「この制度が実現すれば、日本の民主主義をアップデートできる」と語る。

 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市の出身。基地周辺で行われるデモを幼い頃から目にしていたが、「変わらないでしょ」と関心は向かなかった。

なぜ政治を気楽に話せないのか

 それが、東京都内で浪人生活を送っていた時、東日本大震災後の脱原発デモに驚いた。祭りのような、にぎやかな熱気。「市民が声をあげることで議論が巻き起こり、国や社会が変わるかもしれない」と感じた。

 特定秘密保護法や安保法制の…

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