高校思い出クリック~青春群像記~
高校をシリーズで紹介する企画。今回は東京都立小山台高校の2回目です。
文武両道を掲げる小山台には、バレーボールやサッカー、化学や演劇など約30の班活(部活)がある。掛け持ちしている生徒もいて、加入率は100%を超える。
5分刻みの練習スケジュール
11年前、都立高で初めて選抜高校野球大会に出場した硬式野球班は、「都立の星」とも呼ばれる。
4月のある日、取材に訪れると、放課後のチャイムと共に野球班の生徒たちが校舎から校庭に走り出てきた。同校は定時制があるため、午後5時には完全下校しなければならない。校庭までのダッシュをアップ代わりに、きびきびと道具をそろえていく。
校庭は90メートル×60メートルの全面人工芝だ。この日はサッカー班も使うため、半面しか使えない。福嶋正信監督が準備した5分刻みの練習スケジュールを元に、2、3年生の班員約45人が打撃や投球など、少人数に分かれて練習する。
福嶋監督が掲げるのが「ペンの野球」だ。班員たちは日々、ノートに目標や練習の反省点、気持ちなどを記す。福嶋監督は「練習時間が短くても、家に帰ってから自分と向き合うことで、より良いプレーにつながっていく。個の心を育て、チームを一つにしていく」と話す。
都立勢初のセンバツ出場、チーム支えた主将
小山台野球班の歴史が大きく動いたのは2014年。都立高として初となる選抜出場を果たした。限られた練習時間で高い成績を残してきたことなどが評価された。
当時、主将だったのが、同校初のプロ野球選手でもあるソフトバンクの伊藤優輔投手(28)だ。
伊藤投手は高校時代を「自分…