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狩野元信「酒伝童子絵巻」(部分)三巻のうち中巻(1522年、重要文化財)=サントリー美術館蔵
赤い衣を着ているのが人間の姿の酒呑童子
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 絵画や能の題材として長らく人気を集めてきた伝説の鬼、酒呑童子(しゅてんどうじ)。なかでも東京・サントリー美術館が所蔵する重要文化財・狩野元信筆「酒伝童子絵巻」は、多くの別バージョンやスピンオフ、「エピソード・ゼロ」まで生んだ、原点にして決定版だ。

 同館で開催中の「酒呑童子ビギンズ」展では、2020年に解体修理を終えたサントリー本を、同館史上最大規模の約35メートルまで広げて展示。複数の模本や類本もあわせて、鬼退治の全容を紹介する。

 物語の舞台は平安時代。酒呑童子にさらわれた娘たちを奪還すべく、源頼光と家臣の四天王が鬼の城へ赴いて毒酒で童子と手下の鬼たちを酔わせ、大立ち回りの末に童子の首を討つ。

 元信とその工房が手がけた絵…

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