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(15日、全国高校野球選手権埼玉大会3回戦 松山8―1坂戸)

 右足首に激痛が走ったのは、1年生の冬だった。松山の渡辺大翔選手(3年)。最初は疲労骨折と診断された。だましだましプレーしてきたが、昨春、再発。軟骨が空洞化して砕けてしまう難病とわかった。

 1年生の夏からスタメンを務めていたが、昨夏の背番号はつかめなかった。しかし、先輩たちが「渡辺と一緒に戦いたい」と、ベンチに入れない3年生ではなく2年生の自分を記録員に指名してくれた。「戦えない上に、ベンチに入れてもらって。申し訳なさと感謝で涙が出ました」

 昨秋、手術。半年間は歩くことすらままならなかった。「不安ばかりでした」。リハビリで歯を食いしばり、チームの主力として戻ってきた。

 今大会の開会式で、選手宣誓を務めた坂戸西の金子陽樹主将は、これまで支え続けてくれた家族や指導者、ともに戦う仲間たちへの感謝を語った。まさに自分の思いそのものだった選手宣誓に、「震えました。鳥肌が立ちました」。

 いまも足首に痛みが走る。「でも、足は問題ありません。野球ができることは当たり前のことじゃない。動ける体、支えてくれる両親や先生、仲間たちへの感謝を忘れず、全力で戦い続けます」

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