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 野球グラブの生産が盛んな奈良県三宅町。100年を超える歴史があり、かつては国内シェアの9割を誇りました。1952年創業の吉川清商店では元球児が腕を磨いています。

桂天吾

1996年生まれ。神戸市出身。関西学院大学教育学部を卒業後、桂南天に弟子入り。若手落語家の登竜門と言われる「令和4年度NHK新人落語大賞」本選の6人に選ばれる。

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 田畑に囲まれた住宅街の一角に、トントントンとリズミカルな音が響く。裁断機やミシンが並ぶ作業場で、グラブ職人の皆藤純さん(21)が小づちでグラブを黙々とたたいていた。

写真・図版
桂天吾さんが見守る中、作業する皆藤純さん

親族以外で20年ぶりの職人

 近鉄田原線の但馬駅周辺には、グラブの工房が点在している。親族で経営しているところが多く、吉川清商店も初代の清さんが創業した老舗だ。神奈川県出身の皆藤さんが入社したのは親族以外では約20年ぶりだったという。

 皆藤さんは小学生で野球を始め、中学で軟式野球、高校でソフトボールをやるなかで、どうやってグラブが作られるのか、興味を持って調べようになった。「ずっと野球に携わっていたいという思いもありました」

 天吾さんも中学で硬式野球部に所属していたが、ポジションは「センターベンチ」。メガホンを手に応援が中心。「補欠でベンチをめちゃめちゃ温めていた」と話し、周囲の笑いを誘っていた。

終戦後、グラブ生産が盛んに

 三宅町史などによると、終戦…

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