北海道東部の釧路川水系で、「幻の魚」と呼ばれるイトウが絶滅の危機に直面している。この水系のイトウは、漫画家・矢口高雄氏が名作「釣りキチ三平」で取り挙げ、全国に知られた「幻の魚」だ。
- 土砂流入で「幻の魚」イトウ危機 産卵場所に泥 卵流されマスのエサ
その最大の産卵場所に土砂が流入し、この春、イトウが産卵行動をとっても、卵のほとんどが川下に流されている。その様子を、札幌市在住の写真家・足立聡さん（61）が4月上旬、カメラにおさめた。
土砂流入の主な原因の一つは上流での道路工事とみられている。記者が4月9日に工事現場の下流を歩いたところ、泥がひざ辺りの深さまで堆積（たいせき）し、その泥水がイトウの産卵場所の沢に向けて流れ出していた。
イトウは、国内最大級の淡水魚でサケ科に属する。北海道本島や北方領土が国内の自然繁殖地で、ごく限られた河川でしか繁殖が確認されていない。国際自然保護連合のレッドリストで最も絶滅の危険度が高いランクに指定されている。（神村正史）
【動画】真っ赤に染まった「幻の魚」イトウ メスをめぐってバトル＝神村正史撮影
