「捕鯨の街」の山口県下関市で19日、漁でとらえた鯨たちをとむらう「くじら供養祭」があった。捕鯨船の乗組員や鯨肉料理店の関係者らが出席し、海の恵みへの感謝を込めて黙禱(もくとう)を捧げた。
「下関くじら食文化を守る会」(中尾友昭会長)の主催。今年からナガスクジラの捕鯨枠が新たに追加されたことなどを機に、鯨食文化の普及活動を充実させることなどを目的に行われた。
供養祭では中尾会長が、直木賞作家の故・古川薫さんの「私たちは、鯨墓に象徴される生きものの共生と生命の輪廻(りんね)を語りついできた長州捕鯨史を誇りに思う」との言葉を紹介し、慰霊の言葉を述べた。
また、21日に市水族館「海響館」横の特設会場で開催される「おかえり!関鯨丸! くじら祭り」を前に、会場で鯨料理を提供するキッチンカーのメニュー試食会が下関市役所であった。新たに開発した「ロースト鯨のハンバーガー」(税込み700円)、「下関くじらカツカレー」(同1千円)、「くじらタコス」(同800円)が披露された。
鯨肉は火を入れすぎると硬くなるが、低温でローストした鯨肉は臭みの原因となる血が抜けてうまみだけが残るという。試食した北島洋平副市長は「どれもおいしい。キッチンカーが色んなイベントに出店することで、鯨料理を知り、食べてもらう機会にしてほしい」と期待していた。