書店主導の出版流通改革をめざして、紀伊国屋書店、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、日本出版販売(日販)が共同で立ち上げた「ブックセラーズ&カンパニー」(BS&CO.)が24日、書店向けのオンライン説明会を開いた。説明会後、高井昌史会長と宮城剛高社長に、出版業界の課題について聞いた。BS&CO.が作ろうとしている新たな「道筋」とは。
――出版業界全体の改革を目指して、昨秋、BS&CO.を立ち上げました。業界の何が問題なのか。
高井 書店経営は粗利が30%あればなんとか成り立つと昔から言われ、(会長を務める)紀伊国屋書店は努力してきた。だけど、紀伊国屋書店だけではだめだ。読書人口を増やすために、本屋そのものが無くなったら困るからだ。今までは、黙っていても出版社や取次がやってくれると考えていた。しかし人頼みでは解決できず、本屋は潰れていった。経営を成り立たせるために書店から変えていかなくてはいけないと考え、CCCと日販に声を掛けた。「町の本屋の灯を消すな」とまでは言わないが、本屋さんを残し、新しい本屋さんもできるような道筋をつけたい。
――その道筋とは。
高井 業界を改革するには、出版社、取次、書店という長年のビジネスモデルを崩さなきゃいけない。一番崩したのは取次の日販。(BS&CO.の枠組みのなかでは取次業はせず)本を運ぶことだけをする。地方でも効率的に本を届けられるシステムを共同で作れば経営効率が上がる。こうした道筋を作っている。
――書店はこれまで取次を通じて本を注文したり返品したりしてきた。新刊本の書店への送品数は、取次が決めるケースも多かった。BS&CO.では、書店は契約出版社から売りたい本を必要なだけ仕入れることで返品を減らし、結果として書店の利幅を上げることを目指している。書店にとって取次は必要のない時代なのか。
高井 ここまで本の売り上げ…