帝国の幻影~壊れゆく世界秩序~「勢力圏」のはざまで【2】
「米国の黄金時代が今始まる」
そんな言葉で始まった1月20日の就任演説で、トランプ大統領は、こうも言い切っていた。
「アメリカ合衆国は再び自らを成長する国と見なす。富を増やし、領土を広げ、希望を高め、新しく美しい地平線に旗を掲げる国だ」
「米国第一主義」を原則とするトランプ氏だが、第2次政権ではデンマーク自治領グリーンランドやパナマ運河の領有を掲げ、隣国カナダを「51番目の州」にすると主張し、拡張主義的な言動が際立つ。
- 【前回はこちら】トランプ氏とプーチン氏が「勢力圏」決める世界 「正義はあるのか」
ただ、欧州や日本を介して世界に影響力を広げた第2次世界大戦後の米国や、「社会主義の優位性」を掲げて世界各地で米国と覇を競ったかつてのソ連とは異なり、トランプ氏が徹底的に重視するのは目の前にある米国の利益だ。
アメリカ帝国を広げるかは「状況次第だ」
就任100日を控えた4月下…