アナザーノート 堀篭俊材

 狭い林道を車でのぼると、アカマツの切り株が目に飛び込んできた。新潟との県境にある群馬県みなかみ町の赤谷地区。絶滅が危ぶまれるイヌワシを繁殖させるため、森林を伐採した狩り場が点在している。

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 「翼を広げて大空を舞う姿にひかれました」。現地を案内してくれた公益財団法人・日本自然保護協会の出島誠一さん(49)は目を細める。

赤谷地区につくった狩り場でイヌワシの魅力を語る日本自然保護協会の出島誠一さん=群馬県みなかみ町

 「風の精」と呼ばれるイヌワシは、強い風にのって空に舞い上がり、ノウサギやヘビなどの獲物にねらいをつける。

 その狩りを「人工林」が邪魔してきた。赤谷の森を歩くと、やせ細ったアカマツやスギが林立し、暗い場所が目につく。

 もともとは広葉樹を中心とした自然林だった。戦後に木材の需要が急増すると、成長の早いスギやアカマツ、ヒノキなどの針葉樹に人の手で置きかえられた。やがて安価な輸入材に押され、人工林は放置された。

 暗い森で「風の精」は獲物を…

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