今年、市川團子(だんこ)はスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」で主人公のヤマトタケルに初めて挑んだ。昨年亡くなった祖父・二代目市川猿翁の代表作の一つ。全国4都市での公演を10月に完走し、「ホッとしたというのはありますけれど、今でも本当に実感がわかなくて……」と話す團子に、今の思いを聞いた。
「ヤマトタケル」4都市公演を完走
「ヤマトタケル」は猿翁が1986年に初演し、繰り返し上演してきた。「生前、祖父に聞いておきたかったなと思うことは多いです。やっぱり、指導を受けたいという気持ちはありますね」
公演は2月に始まった。最初のうちはタケルの気持ちを複雑に捉え、セリフの一語一語を表現するのに「すごく面倒くさいプロセスを踏んでいたんです」という。
「プロセスが難しければ難しいほど、『正解』なのかなと思っちゃっているところがあった。『やっている感』があるというか……。でも、そうじゃなくてポンポンポンッといくのが、実は正解なんだと気づいて。最終的には、どんどんシンプルになっていきました」
長期間にわたった公演中、中…