ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)など世界に名だたる学術機関が集まる米ボストンから車で1時間。森に囲まれたデベンズの街にその会社はあった。商業用核融合分野で世界のトップを走るスタートアップの一つ、「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)」だ。4月末、施設を訪れた。
核融合発電とは、太陽の内部の反応を人工的に起こし、原子核の融合でエネルギーを取り出す。実現すれば燃料1グラムで石油8トンを燃やしたのと同等のエネルギーが得られ、「次世代のエネルギー」とも呼ばれる。実現まで何十年もかかると考えられてきたが、CFSは2027年に入力以上のエネルギーを出力する実験の成功、30年初頭には米バージニア州に電力供給を開始する目標を掲げている。今年6月には米グーグルが電力購入契約を結んだ。
厳重な管理 建設始まった実験装置
施設に入る前に「写真は撮影しない」「施設内の物に触れない」などと書かれた誓約書にサイン。ヘルメットにサングラス、防音のための耳あても手渡され、3年前に建設されたばかりという建屋に案内された。
核融合で発生する中性子を遮…