岐阜県川辺町長選で町職員出身の木下宙(ひろし)氏(36)が現職の7選を阻み、初当選を果たした。住民課での勤務時代に抱いた危機感が立候補のきっかけになったといい、選挙戦では「町の将来」が争点にもなった。当選の背景には何があったのか、有権者の声などから探った。
「町を歩いていても『川辺町を変えてほしい』と訴えてくる人が何人もいました」
初当選から一夜明けた28日、当選証書を受け取った木下氏は選挙戦を振り返った。
町職員として13年勤めた木下氏が立候補するきっかけとなったのは、職員時代に感じた町の将来への危機感、特に人口減少の問題だったという。
住民課で人口の集計業務に携わっていた2022年、町の人口が1万人を割った。「肌でひしひしと危機を感じました。その時に立候補を決めたわけではないが、強い危機感として心の底にありました」
選挙戦では「町の停滞した空気を変えたい」と若さをアピールし、「とにかく足で行動」「現場のニーズを最前線でキャッチする」と訴えた。
町長選は7選を狙う現職の佐藤光宏氏(68)に新顔2人が挑む構図。木下氏が獲得したのは2622票。元美濃加茂市職員の神野浩明氏(56)の1727票、佐藤氏の945票に大差をつけての当選で、県内の自治体の現職首長では最年少となった。
一方、佐藤氏は、前回の町長選で獲得した2148票の半分以下の票数となった。
前回は現職に投票した人は…
背景には何があったのか。
前回は佐藤氏に投票したが…