叡明―津田学園 三回裏、力投する叡明2番手の田口=伊藤進之介撮影

(7日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 津田学園5―4叡明)

 叡明の背番号6の田口遼平投手(3年)は、三回からロングリリーフでマウンドに立った。

 1球ごとにスタンドから歓声がわき起こり、プレッシャーに襲われる。

 それでも、自分のスタイルを貫けた。低めの直球、落ちる変化球を投げ分け、九回までに2失点したが延長タイブレークに持ち込んだ。

 延長十一回表。無死一、二塁から始まるタイブレークの先頭打者で打席へ。右前適時打で勝ち越しの1点をたたき出した。五回の同点に追いつく犠飛に続き、中軸の役割をしっかり果たした。

 同点で迎えた延長十二回裏。バントを阻止しようと先頭打者に内角高めの直球を投げた。

 白球が三塁線に転がる。捕球後、三塁に投げようか一瞬迷った。

 「1死を」。焦りが出た。一塁への悪送球となり、ボールが転がる間に二塁走者が生還。試合が終わった。

 甲子園への憧れは、5歳から。テレビに映る球児たちの姿に釘付けになった。自由帳に強豪校のメンバー表を書き、当時の甲子園テーマソングは今も鮮明に思い出すことができる。

 叡明を選んだのは「名の知れた強豪校に進学するより地元の学校に行って強くした方が面白いと思った」。1年夏から投打でチームを引っ張った。

 やりきったんだ。試合直後、そう感じた。でも、スタンドから聞こえる拍手と泣く仲間の姿を見て、悔しさがこみ上げる。ここでは終われない。「大学でも野球をやります」。憧れのその先へ。今、新たな挑戦に踏み出す。

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