全国から有望な選手が集まる明治大学サッカー部に入部した当初は無名の存在だった。
そんなアタッカーがいま、パリ・オリンピック(五輪)をめざすサッカー男子の23歳以下(U23)日本代表でエース番号の10番を背負っている。
22歳の佐藤恵允(けいん)だ。
「10番は注目されると思う。日の丸を背負っている重みと覚悟を持って、プレーしたい」
東京都世田谷区出身で、コロンビア出身の父と日本人の母を持つ。東京・実践学園高では10番をつけ、主力だったが、全国大会に出場できなかった。それでも、多くのプロが輩出した明大の栗田大輔監督の目にとまった。
佐藤が高校3年のときだ。明大と練習試合をしたことが、サッカー人生を切り開くきっかけになった。
ボールを持てば、がむしゃらにゴールに向かって突き進む。粗削りなプレーに、可能性を感じさせた。
「前への推進力があり、大学生相手にゴリゴリと(割って)入っていく。4年間鍛えれば、面白くなると思った」と栗田監督。
Jリーグクラブの育成組織や全国高校選手権で名をはせた選手から、年代別の日本代表まで。20年に明大に入学した選手も実績のある選手ぞろいだった。ただ、佐藤は気後れすることはなかった。
「1番下からのスタートだっ…