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総合経済対策の合意文書に署名後、握手を交わす自民党の小野寺五典(中央)、公明党の岡本三成(右)、国民民主党の浜口誠(左)の各政調会長=2024年11月20日午後2時41分、国会内、岩下毅撮影

 年末にかけて行われる税制改正の議論で、国民民主党が訴える減税策「103万円の壁」の引き上げがメインテーマになる。同党は178万円まで引き上げるべきだと主張しているが、税収減に直結するため、与党側との協議は曲折がありそうだ。それでは、どのくらいの引き上げ幅だと妥当なのか。税と社会保障に詳しい第一生命経済研究所の星野卓也・主席エコノミストに聞いた。

 ――「103万円」とは何の額ですか。

 「所得税がかかる年収の最低ラインです。まず『基礎控除(48万円)』というラインがあり、会社員などは、それに『給与所得控除(最低55万円)』が加わり、計103万円になります」

 ――国民民主は、最後に控除額が見直された1995年からの最低賃金(最賃)の伸び率をもとに、最低課税ラインを103万円から178万円に引き上げる案を示しています。

 「基礎控除や給与所得控除は、最低限必要な生活費には課税すべきではないとの考えに基づくものです。ただ、最賃は近年、賃上げ促進の観点で政策的に引き上げられてきた側面が強く、基本的に物価や賃金の伸びを上回っています。『生活最低限度の基準』として最賃を用いることがふさわしいかどうかは、議論が必要でしょう」

 ――ほかに、どのような指標を用いることが考えられますか。

 「『最低限の生活費』に対応…

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