米ホワイトハウスで7月31日、演説するトランプ大統領=ロイター

 米トランプ政権が、ほぼ全ての国・地域にかける「相互関税」の税率を改定し、日本には7日から15%がかかることになった。15%の相互関税はトランプ大統領が予告していた25%より低いが、輸出で稼ぐ企業からは「大幅なコストアップ」との声が上がる。今後、米国内での販売価格に関税分を上乗せする動きが広がりそうだ。

 伊藤忠商事の鉢村剛・副社長は1日の会見で、15%の関税率について「世界に先駆けて日本がこのレンジ(幅)に抑えることができたのは、極めて大きな進捗(しんちょく)と思う」と述べた。

 同社では東南アジアから米国に果物などの加工品を輸出する事業などが関税の影響を受ける。同日発表した2025年4~6月期決算は、関税の影響によって利益が約10億円下押しされた。

 米国での売上高が全体の3割弱を占めるキヤノンの田中稔三副社長は、7月24日の会見で「15%でも大幅なコストアップだ。個別の会社が努力できる、ぎりぎりの線ではないか」。同社は日本やベトナムなどからカメラやプリンターを米国に輸出している。関税によるコスト増は最大で今年は150億~160億円ほどと見込む。関税負担分は商品の値上げによって一部を吸収する考えだが、田中氏は「10%の場合は一律の値上げを考えた。今度(15%)は一律にというのはなかなか難しい」。製品ごとに値上げできるか見極める意向だ。

他国への生産移管含め「あらゆるメニューの検討加速」

 米国に複合機や産業用印刷機…

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