(22日、第107回全国高校野球選手権千葉大会5回戦 習志野5―3成田)

 成田のエース坂下潤弥(3年)は、3度目のリードを許した六回裏2死一塁から救援登板。三振で後続を断ち、マウンドでほえた。だが七回にも習志野の中軸に連打を浴びるなどして、再び突き放された。「Aシードの意地を見せつけられた」

 坂下がひじの故障から復帰したのは大会直前。7月2日にあったベンチ入りできない3年生のための「引退試合」ではアナウンスを引き受け、ユーモアある選手紹介で、会場を沸かせた。「自分が今できることをやるだけ」と謙遜していたが、家族によると、懸命にリハビリに取り組み、間に合わせた。

 「今日の投手陣はプラン通り。相手にうまい投球をされた」。就任25年の尾島治信監督は、敗因を語った。秋と春は結果が出なかったが、「これだけ長打力がある選手がそろったのは近年ない」と手応えを感じていた。だが、六回の同点2ラン以降は安打が出なかった。

 成田は選手権大会に7回出場し、4強にも3度進出している。坂下は「文武両道を目指して」君津市から、先発した富沢匡翔(同)は「祖父も父も着たユニホームを着たかった」と茨城県から進学した。

 選手権に最後に出場したのは2010年。「15年ぶりの甲子園」には届かなかったが、ノーシードから勝ち上がり、この日もAシードと互角に渡り合った。伝統は受け継がれた。=県SC

共有
Exit mobile version