【動画】日雇い労働者のまちとして知られる西成区釜ケ崎の階段を小学生らがペイント=水野義則撮影

 日雇い労働者のまちとして知られる大阪市西成区の釜ケ崎にある阪堺線今池駅。ホームに通じる40段の階段に、虹色のスプレーアートが描かれた。酔っ払いがごみを捨てたり、休んだりする光景がおなじみの階段が様変わりし、通りがかった人たちは「えらい変わったやん」「にぎやかになったなあ」と口にしていた。

 3月26日にあったイベントに参加したのは約40人。2015年から活動しているグループ「西成ウォールアートニッポン(西成WAN)」が地元の小学生たちと一緒に手がけた。

 西成WANはクラウドファンディングなどで資金を集め、釜ケ崎かいわいの壁やシャッターにスプレーアートを描いている。これで15カ所目の作品になった。

 この日の朝9時ごろ、年配の男性2人が階段に腰掛け、カップ酒を手に弁当を食べていた。西成WANのメンバーが話しかけると、「それはええことや」と言って場所を空け、作業が始まった。

 釜ケ崎で生まれ育ったラッパーのSHINGO★西成さん(52)も参加。児童館「今池こどもの家」に通う地元の小学生26人を誘導し、「イエーイ。塗ろうぜ」と呼びかけた。

 カラフルになっていく階段に、近所の人たちも足を止めた。50年ほど釜ケ崎で暮らしているという男性(77)は「階段の化粧やね。目の前に住んでいるからこうなって最高や」。

 1年半ほど前から近所に住む男性(48)は「こんなきれいになったらごみを捨てようとする人がいなくなるわな。まち全体がこうなっていかなあかん」と口にした。

 SHINGO★西成さんは「ここはずっと前から多様性のまち、ふさわしいやん。色んな人がいて、色んな生き方があって、色んな店がある。7色ではもちろん、ほんまは20色の虹でも足らんくらいや」と笑顔を見せた。

 西成WAN実行委員長で阪南大の松村嘉久教授(観光地理学)はゼミ生らとともに汗だくに。できばえに「思った以上にインパクトがあるね」と話した。

 地元の子どもたちが参加したことについて、「このまちの日雇い労働者のおっちゃんたちって、よく『このビル、おれが建てたんや』と自慢するでしょう。同じように、今日の子どもたちが成長し、『あっこの階段は私たちが塗ったんやで』と言ってくれたらうれしい。地元に誇りをもって、愛着を抱いてほしいからね」と話した。

■〈お知らせ〉書籍「西成DE…

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