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 いまや山歩きに欠かせないインフラになりつつあるのが、福岡市発のベンチャー、ヤマップの登山アプリだ。440万人がダウンロードし、遭難防止のため27府県と連携する。登山アプリのヤマップはどのようにして誕生したのか。創業者の春山慶彦代表に聞いた。

 もともと写真家・探検家の星野道夫さんに憧れて、写真家になりたかったんです。ユーラシア旅行社に入って旅の雑誌「風の旅人」編集部で働き、添乗員もしました。

 転機になったのは2011年の東日本大震災と東電原発事故でした。1945年に2回も原爆が落ちたこの国で、その66年後に原発が爆発し、故郷を離れざるを得なくなった人たちがいる。こんなことがあっていいのか、と。僕は写真表現で社会にインパクトを与える仕事をしたいと思っていたけれど、3・11を経験し「表現では甘い。何か社会的インパクトのある事業をしないといけない」と思ったんです。

 学生時代にむさぼるように山に登り、狩猟も経験しました。自身の身体を動かしてみて初めて、「日本社会の課題は身体を動かさないことにある」と思うようになりました。それで都市と自然をつなげ、なおかつビジネスとしてインパクトのあるものができないか考えていたんです。

 そうしたら、11年5月に大…

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