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 「3号被保険者制度」は1985年の年金制度改正で創設。当時は「夫は外で働き、妻が家庭を守る」という専業主婦世帯が約936万世帯と共働き世帯を上回っていた。ただ、専業主婦の国民年金への加入は任意。離婚した場合には自分名義の年金を受け取れないなどの課題も。3号制度創設には、女性の「年金権」を確立する狙いがあった。

 一方、創設当時に約718万世帯だった共働き世帯は、2022年に約1191万世帯に。専業主婦世帯は約430万世帯と半数以下に減った。

 5年に1度の年金制度改革に合わせ、厚生労働省はパートら短時間労働者の厚生年金の加入対象を広げようとしている。年収「106万円」の壁の賃金条件も撤廃する方針。こうした動きで厚生年金の加入が増えれば、3号制度の対象者(24年5月で675万6千人、うち女性が662万7千人)も縮小するとみられる。

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 厚労省は、自民党の厚労部会で行われた関係団体へのヒアリング結果を踏まえ、3号制度の今後の在り方について、今回の制度改革の関連法案の付則に検討規定を設ける方針だ。こうした3号制度に関する検討規定が入るのは初めて。改めて3号制度の実態を分析した上で、検討する場を設置することを想定している。

写真・図版
厚生労働省社会保障審議会の年金部会=2024年11月15日、東京都千代田区

 これまでの厚労省の審議会で…

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