愛知県豊橋市の新アリーナ計画をめぐり事業継続の賛否を問う住民投票が、今夏の参院選と同じ日に実施される。前市長時代の2023と24年の2度、反対する住民グループが住民投票の実施を求めたが、議会が否決。昨年12月には推進・反対両派から議員提案があったが実現しなかった。「4度目の正直」となる住民投票の背景に何があるのか。来たる住民投票に向け、市民も動き出した。
「投資なしでまちおこしは絶対に出来ない」。27日に発足した市民団体「新アリーナを求める会Neo」の小林佳雄代表(76)=物語コーポレーション元社長=は、スポーツやライブなどのコンテンツによって、豊橋を全国に売り込めると訴えた。団体には新アリーナの整備を求める有志が集結。今後チラシを手渡しするなどして、新アリーナ整備の必要性を訴えるほか、説明会も開く予定という。
約2週間前の15日、住民投票条例案を提案したのは、過去3度、条例案を否決してきた最大会派の自民党市議団だ。副団長の山本賢太郎市議は今回、「全会派にお声掛けをさせていただいた」という。アリーナ計画の推進に立つ自民、公明などと、計画に反対の共産などの会派が名を連ねた。
「決着を」市民からの声も
これまで住民投票に前向きではなかったというが、今月6日、自民の市議団の会合で住民投票実施にかじを切った。
この半年、議会では膠着(こうちゃく)状態が続いてきた。昨年11月の市長選で計画に反対を掲げた長坂尚登市長が当選。長坂市長は新アリーナ契約解除に向けて動き、計画は中断。議会側は「契約解除には議会の同意が必要」とする条例を可決したが、市長側が異議を申し立て、対立が続いている。
「流れが変わった」とアリーナ推進派の市議らがみるのは、自民など4会派の市議有志が開いた3月の説明会だった。6会場に約800人が集まり、立ち見も出る盛況ぶりだった。賛否の声があがりつつ、住民投票を求める声が相次いだ。
意気あがる反対派「自民追い詰めた」
工事の中断による損失補償に…