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中央最低賃金審議会の目安小委員会に出席する使用者側(経済団体)の代表委員ら=2024年7月24日、東京・霞が関、宮川純一撮影

 最低賃金(時給)の引き上げ幅をめぐる議論が、過去最高で決着した。5.0%(50円)に至る攻防には、「物価を上回る賃金」を掲げ、物価高の影響を差し引いた「実質賃金」のプラス転換を図る岸田文雄政権の強い意向があった。議論の舞台は地方に移るが、影響が大きい中小零細企業からは悲鳴も上がる。

  • 最低賃金、50円増で全国平均1054円に 過去最高の引き上げ

 「やはり5%という数字はインパクトがある」。官邸関係者は24日、満足そうに語った。

 賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、生活実感に近い実質賃金は過去最長の26カ月連続でマイナスに沈む。岸田政権は、実質賃金のプラス転換を後押しする残された手段として、最低賃金を重視した。

 今年6月の骨太の方針には「2030年代半ばまでの早い時期に全国加重平均1500円を目指す」と明記。実現には毎年3.5%程度の引き上げが必要な計算で、今回は目標を掲げてから初の議論でもあった。

 政府は最低賃金の目安を決める中央審議会の運営には中立的な立場だが、6月の初会合から、大幅アップを求める強いメッセージを出した。

 「今年は春季労使交渉(春闘…

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