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「60歳」をうたうムックも様々ある
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記者コラム 「多事奏論」 文化部(大阪)記者 河合真美江

 「60歳」が近ごろ目につく。「60歳からの……」「60歳過ぎたら……」とうたうものが書店にあれこれ並んでいる。61歳の私もどんぴしゃりの年ごろ。ため息をのみこみ、ちらちら読んでしまう。

 ワクワクするような趣味を持つ。いらないものを処分し、部屋を片づける。しっかり入浴、よく寝て、たんぱく質や食物繊維をとる。なるべく日々歩き、日ごろの動作のなかで意識して体を使う。SNSを活用して世界を広げよう――。暮らしのアドバイスが山盛りだ。これをみんな心がけるのか。ああ、忙しい。

 「定年後は余生という言葉もありました。でもいまは、余生なんて言ってられません。60歳から惰性で生きられる時代ではないんです」。シニア生活文化研究所の代表理事、小谷みどりさんは言う。

 厚生労働省の簡易生命表によると、2023年の日本人の平均寿命は女性87・14歳、男性81・09歳。40年前より男女ともにおよそ7歳延びた。また、90歳まで生きる人の割合は女性が50・1%、男性は26・0%となっている。女性の半数が90代を迎えることに軽く驚く。「ですから、女性は60歳から30年あると見越して人生を考える必要があるんです」

 小谷さんは50歳以上が学べ…

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