サッカー日本代表の久保建英(22)が所属するスペイン1部レアル・ソシエダードは同国北部のバスク地方サンセバスチャンに本拠を置く。
そのバスク地方で14年間にわたり、サッカー指導者として活動しているのが、岡崎篤さん(38)だ。
2015~16年には当時スペイン1部エイバルに所属した乾貴士の通訳を務めた経験もある。日本とスペインのサッカー文化の違いとは。久保はなぜ活躍できているのか。話を聞いた。
- 久保建英を育てたスペインの文化とは 現地で感じた厳しさと温かさ
――スペインのサッカーの特徴を教えてください。
「スペイン人はラテン民族ですが、地理的には欧州に位置しています。ラテン民族は、おおらかで、いい意味でも悪い意味でもめんどくさがりや、そして陽気です。さらに負けず嫌いな気質があります。一方、欧州の社会全体を見渡せば組織的、論理的なところがある。その二つの要素がうまく混ざっている印象です」
「それがサッカーにどう影響するか。できるだけ走りたくないし、働きたくないにもかかわらず、絶対に勝ちたいと考える。一見、矛盾した考え方です。走るなら、納得できる理由が必要。つまりサッカーでいう知識、戦術がどんどん豊かになっていく土壌がこの国にはあります」
「もう一つの特徴は、国内でのライバル心がものすごく強いことです。南のアンダルシア、北のバスク、中央のマドリード、西のガリシア、地中海に面したカタルーニャといったように、各地方にそれぞれ違う文化圏があります。各地域にあるチームが一つのリーグで戦っている。地域間での競争意識が高いことは、勝利を求める『エンジン』にもなります」
スペイン社会が求める人間像
――これまで日本の多くの選手が、スペインリーグでは結果を残せずに苦しんできました。
「日本のサッカーは働くこと…