「100年をたどる旅~未来のための近現代史」日米編⑥

 1枚の目を引く米大統領選のポスターがある。男性候補者が星条旗を握りしめ、「America First(米国第一)!」の文字が躍っている。

 ドナルド・トランプ大統領のものではない。約100年前、共和党のウォーレン・ハーディングが選挙戦で用いたものだ。「米国第一」を掲げ、1920年の大統領選で史上最大の差をつけて勝利した。

 「世界に市場を開放しながら、米国の生活水準と機会均等を維持し、不平等な競争の中で産業の優位性を保つことはできない」

 21年3月、ハーディングは就任演説で宣言した。国際協調主義を掲げた前任のウッドロー・ウィルソン(民主党)の路線を否定する演説は、続く。「貿易の障害をなくせば万事うまくいくという考えは魅力的な幻想であり、米国の基準を守るには我々の高い生産コストに合わせて輸入品に関税をかけねばならない」

100年前も高関税 進むブロック経済

 トランプ氏の考えとの類似点は驚くほど多い。

 ハーディングは「旧世界(欧…

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