中小企業庁の看板=東京・霞が関

 M&A仲介を通じて同一グループに買収された中小企業でトラブルが相次ぐ問題で、中小企業庁が実態把握に乗り出した。不適切行為を繰り返す買い手に注意するよう呼びかけ、実態を踏まえて中小M&Aガイドライン(指針)の見直しも検討する。

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 中企庁は朝日新聞の報道などを受け、トラブルが相次ぐ買い手企業を、売り手側に紹介したM&A仲介業者などへの聞き取りを始めた。M&A仲介業者が買い手企業による契約不履行などのトラブルを把握しながら、そのことを新たな売り手側に伝えず取引を進めれば、利益相反リスクへの対応などを定めた指針に反するとしている。助成対象となるM&A支援機関登録制度の登録業者には指針の順守が求められており、違反すれば登録を取り消される場合がある。

 朝日新聞の取材では、茨城県などに拠点を置く法人グループが2021年以降、飲食店や建設業者など約30社を買収。一部の会社では多額の現預金が流出し、従業員の給与や取引先代金、融資返済、年金・税金などの遅延や未払いが続出した。買収先の多くで社長に就いた法人グループの代表(64)は昨年末から行方がわからず、一部の会社が警察に被害の相談をしている。

 契約書類などによると、この法人グループに複数の売り手企業を紹介して取引を成立させた仲介業者は少なくとも3社ある。

 中企庁財務課は類似の事例に…

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