市販薬や処方薬を過剰摂取するオーバードーズ(OD)の経験者が集まり、気持ちを分かち合う自助グループがある。その名も「OD倶楽部」。生きづらさをかかえる人たちが、安心してつながれる居場所をつくろうと、自身もOD経験者の大阪ダルクの倉田めばさんが、2022年12月から始めた。
OD倶楽部は、対面だけでなく、自宅や入院する病室からオンラインで参加できる。ニックネームやファーストネームを使い、自分のことは話さず聞いているだけでもいい。24年11月までにのべ約800人が参加した。
参加者は10~80代と幅広い。「ODをしてしまったときにはどう対処するか」「寂しさが消えない」「支援者とうまく人間関係を築けない」
集まりではそれぞれの悩みなどを話し、終了後には何げない雑談を交わす。
度重なるODで人間関係を次々に失い、ケースワーカーとしかつながりがない独居の人、心の底では誰かに助けを求めながら、薬に頼ってしまう若い人……。多くは、孤立を感じ、心の痛みを一時的に和らげるためにODをしてしまう。
「40年前、20代の自分は居場所がなく、ずっと悩んできた。だけど、本当はそういう人はいっぱいいる。ちょっとでも人とつながれる場があれば、救いになる」
ほろ酔いも、「目の前の時間を消したい」ときも
倉田さんは自身の経験からOD倶楽部を始め、居場所の大切さを再認識した。
倉田さんは3人きょうだいの長男として生まれた。母親の期待を受け、国立の進学校の中学に進んだが、成績が悪化。母親の要求に応えられない自分に絶望した。「いっそのことおちぶれて不良になりたい」と、シンナーを吸い始めた。
高校生のとき、自傷行為を始…