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JR湯沢駅にある湯沢駅観光案内所=同所提供
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 タクシー運転手に連れられた3人の外国人が観光案内所にやってきた。12月9日のことだ。

 案内所の女性スタッフは「ああ、またかなぁ」と思った。ここは、秋田県湯沢市のJR湯沢駅にある観光案内所。

 スキーウェアに身を包んだ外国人家族。若い夫婦と幼稚園児のようだ。「ごめんなさい、ここは秋田の湯沢なんです」と女性スタッフ。彼らが行きたかった場所は女性でも分かった。「越後湯沢駅とは違うんですよ」

 午前中に東京駅を出たとして、だいたい午後3時すぎにそういう外国人は現れる。月に数回ほどはあるという。

 「東京から湯沢まで4時間以上かかるので、いったん湯沢に来てしまうと、秋田新幹線を利用して大宮まで戻って、という方法くらいしかないのですが、そうすると越後湯沢に到着するのは頑張っても深夜。申しわけないので、湯沢市内のホテルを紹介するか、温泉宿を紹介しますね」。女性スタッフはそう話す。

 大規模なスキーリゾートを有し、訪日外国人観光客も多い新潟県の湯沢町と違って、こちら湯沢市には大規模なスキーリゾートはない。自慢できるのは温泉。でも、外国人の認知度はいま一つ。湯沢駅と越後湯沢駅を間違えて訪れる外国人旅行者はまれなことではないという。

 9日に迷い込んだオーストラリア人家族には市内のホテルを紹介した。「でも、喜んでもらえたようで良かったです。タクシー運転手の方やJRの職員の方も親切だったのでしょう。ご家族みな翌日には明るい表情で湯沢駅を出て行かれました」。スタッフは胸をなで下ろした。

迷い込んだ外国人にも親切に

 昨年の夏にはこんなこともあった。

 フランス人の若い夫婦が湯沢…

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