ウクライナの首都キーウで2025年2月7日、ロイター通信の記者にウクライナの資源に関する地図を見せるゼレンスキー大統領=ロイター

 ウクライナのゼレンスキー大統領について、ロシアや米国から、「正統性に疑問があり、選挙をするべきだ」という批判が出ています。トランプ米大統領は「選挙を経ていない独裁者」と発言しました。では、選挙は現実的に実施できるのでしょうか。解説します。

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 Q ゼレンスキー氏の任期は切れているの?

 A 2019年4月に実施された大統領選の決選投票で、ゼレンスキー氏は75%ほどの得票率を得て勝利しました。同年5月20日に就任し、任期は5年でした。2期まで再選が可能ですが、24年5月の大統領選は実施されませんでした。

 Q なぜ選挙は行われなかったの?

 A 22年2月にロシアによる全面侵攻が始まったことが理由です。侵攻開始当日、ウクライナには「戦時体制」が導入されました。一般的には「戒厳令」と呼ばれることもあり、国民の自由を制限するものです。

 ロシアが一方的にクリミア半島を併合した後の15年5月、ウクライナ議会は「戦時体制の法制度について」という法律を採択しています。この法律の19条では、戦時体制下における憲法の変更のほか、大統領選や議会選、地方選は禁じると明記されています。

 Q では、その法律を改正すればいいのでは?

 A 理論上は、法改正によっ…

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