パリ五輪を約1カ月後に控えたフランスで、下院に相当する国民議会での総選挙が6月30日から始まりました。右翼「国民連合(RN)」が過半数を獲得する可能性もあり、これまで関心の低かった下院選が国の形を変えるかもしれない「歴史的な出来事」としてフランス国内、そして世界の注目を集めています。その仕組みや展望、世界への影響について解説します。
Q フランス国民議会の選挙の仕組みは?
A 18歳以上の有権者による小選挙区制で、定数577の議員すべてを直接選挙で選びます。できるだけ多くの有権者が納得できる候補を選ぶため、2段階で当選者を決める仕組みです。ちなみにフランスでは大統領選挙も2回投票制です。
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初回投票で有効投票の半分以上、かつ有権者数の4分の1以上を得票した候補者は当選が確定しますが、過去の選挙では大半の選挙区で上位2人による決選投票が実施されています。有権者数の12・5%以上の票を得た候補は全員が決選投票に進めますが、3人や4人の候補による決選投票の例は多くありません。
Q 今回、選挙が実施されることになったのはなぜ?
A 下院の任期は5年で、任期満了に伴う次の選挙は2027年に予定されていました。しかし、6月6~9日に実施された欧州連合(EU)の議会選挙で、フランスではマクロン大統領率いる与党連合が、右翼のRNにダブルスコアで大敗。マクロン氏は「国民が自分自身と将来の世代のために最も公正な選択をする能力を信じる」と述べて、下院の解散と選挙の実施を決めました。
大統領による任期途中の下院解散は1997年に当時のシラク大統領が踏み切って以来です。
Q 過去の下院選に比べてフランスや世界の注目度が高いのはなぜ?
A 二院制のフランスで、下…